初めての赤目四十八滝、そして竹灯りライトアップ

2020年度のイベントについての記事です

「なんて穏やかな空間。黄色い灯りでライトアップされて、遠くから見るとあっちの丘のほうは明るくて昼間みたい」と妻は言いました。ライトアップの会場まであと数歩、遊歩道や静かな渓流沿いに飾られている美しい竹灯りに目を奪われました。とうとうやってきました、赤目渓谷「幽玄の竹灯」。

Akame 48 Waterfalls Bamboo Lantern Illumination 2020

赤目渓谷へ週末旅行

今回の赤目四十八滝への週末旅行は天気にも恵まれ、午後に出発して、ちょうどよいタイミングで夜のライトアップに間に合いました。滝と言えば、誰もが山あいや渓谷、そして渓流を水が流れているような場所を想像するでしょう。そうなんです、僕たちは、まさにそのような場所にいるのです。日本の地形はほぼ77%が山地で、赤目四十八滝は、三重県の山間部を流れる一連の滝です。正確には三重県名張市赤目町にあり、電車でも車でも簡単にアクセスでき、名古屋、京都、大阪など周辺の主要都市からも訪れやすい場所にあります。

僕たちが住む三重県津市から赤目町への移動時間は約1時間。少し休憩した後、暗くなるのを待つ間、森の中のライトアップがどんなものか垣間見ようと赤目自然歴史博物館に出かけることにしました。館内に入ると、そこには細工を施した竹筒が展示されていました。竹に穴を開けて模様を描いた筒の中に灯りをともすと、ロウソクのような輝きを放つ竹灯りです。博物館内でひときわ目を引く一角で、職人が彫った様々な模様の竹灯りを先に見ることによって、赤目渓谷の美しい自然を照らす「幽玄の竹灯」が、なるほど、どんなイルミネーションなのかピンときました。

Bamboo lanterns and lamps
展示されていた竹灯り

博物館から一歩外に出た瞬間、山あいの冷たい風を感じました。もはやもう秋ではなく冬が始まったんだな。でも、僕たちは寒くてもいいから思いっきり楽しもう!と準備万端でやってきました。

Bamboo lamps along the path

博物館から徒歩5分ほどのところにライトアップエリアの入り口があります。小道を歩いていくと、細かい細工が施された竹灯りが道端に並べられているのを見つけました。竹灯りから漏れる澄んだ光は美しい自然を明るく照らし、森から忍び寄る闇ととても美しく溶け込んでいました。

明かりに照らされた遊歩道を進むにつれ、ますます明るくなる黄色のやわらかな光。いよいよ、ライトアップのメイン会場はすぐそこです。会場の入り口付近にはまぶしく明かりを放つ竹灯りがひとつ立っていて、顔も明るく照らしてくれるので、ライトアップを背景にした写真が撮れる最高の撮影スポットでした。

「きれいだなぁ」とため息を漏らしたのもつかの間、黄色い光が渓谷全体を照らし幻想的な自然の情景を醸し出しているのを横目に、僕は丁寧に彫られた竹灯りの模様をカメラに収めようと奮闘したのでした。

Photo spot at Akame Valley Bamboo Lantern Illumination
メインの入り口にある有名な写真撮影コーナー

メインのライトアップエリアである渓流に並べられた様々な種類の竹灯りとその間を流れる水。そして僕たちは渓谷内の小道を歩きながら、ひとつひとつ違う細工を細かく見ていきました。素晴らしい職人の技。竹に細工を施す時の竹灯りアーティストの真剣な心意気とはどんなものか、と想像したりしました。中でも目を引いたものが2つありました。1つは球体の竹灯りが真ん中から吊るされているテントのようなデザインのもの。もう1つは竹筒の上部から下部へと漢字が彫られているものです。そういった小さな詳細な模様が、ライトアップ効果により浮き上がって見えたのが印象的でした。さらに、小道の正面には、明るい青い光に照らされた同じ形の竹灯りが2つ立っているのを見つけました。なるほど、どうやらそれらは、ハイキングトレイルの入り口の印、つまり壮大な数々の滝へと導くルートの玄関口の役目として設置されているようでした。

Bamboo lantern illumination
竹灯り会場を通るメインの小道
Bamboo lantern illumination
幻想的なイルミネーション効果を創り出す、竹灯りのみごとな細工
Detailed design and kanji characters on bamboo tubes
詳細で凝った模様と漢字の装飾

やっぱり昼間の赤目四十八滝も見てみたい

赤目五瀑と言われるメインの滝のひとつ、不動滝のあたりが竹灯り会場の終点です。崖から落ちる水の音や滝壺に落ちる水でできる霧状の空気はまさに癒やしの空間。ライトアップでは滝が滝壺の片側から青い光で照らされていました。不動滝がもっとよく見える橋「不動橋」へ行くには、らせん階段を20段ほど登らなければなりません。そして不動橋の先は数々の滝を見ることできるハイキングトレイルへと続いています。

赤目四十八滝を訪れたのは初めてで、先に夜のライトアップされた滝を見た僕たちは、昼間の赤目四十八滝もぜひ見てみたい、ということで翌日も渓谷内に足を運びました。

――「おぉ、すばらしい絶景」昼間の景色にも息を呑みました。

Fudo Falls day and night
夜ライトアップされた不動滝(左)と昼間の不動滝(右)
In front of Fudo Falls
翌日不動滝の前で

肌寒い天気で、特に夜は冷え込みましたが、今回の「竹灯りライトアップ」旅行は、とても貴重な体験でした。このブログで紹介したようなすばらしい体験ができるんだったら、もっと暖かい、夏期にライトアップイベントを開催したらどうなの?と思う人もいるかもしれません。実は僕たちもそう思ったんです。そこで名張市観光交流室の山下さんに「なぜ夏に開催しないのですか」と質問をしてみました。彼はすかさず「夏に竹灯りライトアップは開催できないんですよ。日本では夏に台風や嵐が来ますからね。竹灯りライトアップは秋から冬にかけてが最適です」と答えてくれました。 なるほど、僕たちも日本に来てしばらく経っているので納得。確かにその通りですね。

今回の旅をまとめると、環境に配慮したアイテムがいかに自然と美しく調和するか、また、職人技による創造力がイルミネーション業界でいかに素晴らしい光景を生み出すか、ということがよく理解できた旅だったといえます。イルミネーション愛好家の皆様、僕たちからのレコメンドです。「この素晴らしい場所(赤目四十八滝と竹灯りライトアップ)を“行きたいところリスト”にぜひ加えてください!」

赤目渓谷 幽玄の竹灯
2020年10月24日(土)〜2021年1月31日(日)
16:30〜20:00
会場:赤目四十八滝・日本サンショウウオセンター〜不動滝 ほか
入場料:大人600円、子供300円
詳細は赤目四十八滝公式ホームページ をご覧ください
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