季節ごとに異なる体験ができる「名張オーガニックビレッジ体験」。今回は、12月に体験することができるプログラムをご紹介します。
初冬らしくきりっと冷えた12月のある日、名張の「古民家一棟貸しの宿・吉田屋」に参加者が集合しました。パチパチと音を立てながら煙を上げている火鉢、縁側越しに眺める里山は本当にのどかです。このリラックス空間でこの日の体験が始まります。
みんな名張に来たのは初めてということで、まずは、ツアープランナーの川井さんから名張市のことを紹介してもらいます。大阪から電車で約1時間という立地にかかわらず自然豊かで、山に囲まれた盆地という風土と気候を生かして作られるお米、野菜、お酒、牛肉など、この地域には美味しいものがたくさんあるんですよ、と川井さん。名張市が「オーガニックビレッジ」として宣言しているのも納得です。
餅つき
最初の体験は、杵と臼でする餅つきです。今回は、オーガニック農法で育てられ秋に収穫されたばかりのもち米を使用するということで、まずは、このもち米を栽培した「カミちゃん」のお話を聞きます。カミちゃんは、名張で農園「カミノイタズラ」を経営し、野菜や米を有機農法で栽培しています。
名張市は特Aランクのコシヒカリ「伊賀米」を生産する地域です。そんな米どころでていねいに育てられた、オーガニックのもち米を使うなんて贅沢ですよね。このおいしいもち米を蒸して、2000年以上も続くといわれる伝統的な製法でもある、杵と臼で餅つきをしていきます。
庭では、蒸しあがったもち米がもくもくと湯気をたてています。これを早速臼に移し、まずはお手本から。杵で叩いて、もう一人がすばやく返す。慣れた手つきでつき手と返し手の息もぴったり。
「じゃあ誰かやってみたい人?」
次々と交代で私たち参加者も餅つきにトライしました。餅つきは映像などで見たことはあるけれど、実際にやったことがない人ばかり、つき手と返し手のタイミングを合わせるため、返し手の人の名前をリズミカルに呼んで、ついてついて返して、ついてついて返して…を繰り返します。
声掛けが功を奏し、皆とてもスムーズ!おいしそうなお餅が次々とつきあがりました。
室内に戻り、つきたてのあつあつのお餅をまるめます。談笑しながら、時にはちょっとつまみ食いしつつ、楽しいひとときです。
そしていよいよ自分たちがついた、オーガニックもち米のお餅を試食。お味噌汁と、きなこ、砂糖じょう油、大根おろしの3種類の薬味とともにいただきます。
やっぱりつきたてのお餅はおいしい! 3種類の味の中でも、大根おろしのお餅は食べたことがない人もいて、おそるおそる口にしていましたが、皆そのおいしさに感動。餅の上に大根おろしをたっぷりとのせ、無添加のおいしい醤油をかけて食べるおろし餅は一番人気でした。
お餅を食べた後は、腹ごなしに古民家の周りを散策しました。快晴の真っ青な空の下、日本の原風景が残る里山を歩きます。
途中地元のおじさんに話しかけられたり、近くの神社、勝手神社に立ち寄り、お参りの作法を学んだり、とのんびりとしたひととき。「古民家の宿・吉田屋」に戻ったころには体も暖まって、さあ、次の体験へ。
しめ縄作り
今度はお正月にはかかせないしめ縄作りにとりかかります。古くは、米を栽培することができない冬季、米農家の副業としてしめ縄が作られてきました。高齢化などで実際に作れる人が少なくなっていますが、古民家吉田屋のオーナーでもあるホーリーがその手のプロです。畳の上に置かれている大量のワラのまわりに座り、カミちゃんと、ホーリーに教えてもらいながら、手伝ってもらいながら、しめ縄作りに挑戦しました。
「まず形のいいワラを3本選んで、このようにまとめます。そしてこうやってよじって編んでいきます。」とカミちゃん。
「このワラは大丈夫かな?」とある参加者が聞くと、
「う〜ん、アウト〜笑」と言われてしまい…ワラ選びから難しい。
それでもへこたれずやっとOKをもらったワラをまとめ、次にそれらを編んで1本の縄にしていきます。
ホーリーは足を使ったりして、いとも簡単そうにやってみせるのですが、私たちが実際にやってみるとなかなかうまくいきません。みんな初めての体験なので、悪戦苦闘。
文字通り手取り足取り教えてもらいながら、もくもくと作業する時間が流れます。そうやって何本か作っていくうちにコツがつかめたのか、最終的にはみんななかなかの出来栄え!
上手にできた縄を選び、きれいにとんぼの形に結んだら、仕上げにナンテン、ウラジロ、ゆずり葉を飾ってしめ縄の完成です。シンプルなワラのしめ縄に緑の葉、赤い実のアクセントがかわいいですね。
ここで参加者の皆さんから質問が飛び交います。
「なぜこの植物を飾るの?」
「どれも縁起物で、それぞれにちゃんと意味があって飾るんですよ」とカミちゃん。あなたはその意味、知っていますか?
現代では、売っているお餅やしめ縄を買ってきてお正月準備をする人がほとんどだと思いますが、たまには里山に立つ古民家で、このように農家のお正月準備を体験しながら日本の伝統に想いをはせてみるのもいいですね。
集合場所:近鉄名張駅(送迎あり)、または現地「吉田屋」
所要時間:餅つき2.5時間、しめ縄作り2時間(散歩の時間は含みません)
※他の体験プログラムと組み合わせて、1泊2日のツアーも可能です。
- 他の体験プログラムはこちら
- 「名張オーガニックビレッジ体験」について