三重県の西、大阪から電車で約1時間、名古屋から約1時間半という立地でありながら、自然がとても豊かなまち。名張市では、盆地特有の気候や風土を生かして農産物や特産物が生産されています。寒暖差を生かして栽培されるぶどう、米の最高ランク特Aを冠する「伊賀米」、上質の米と清らかな水から作られる日本酒、肉の横綱といわれるブランド牛「伊賀牛」などまさにおいしいものの宝庫。そんな名張だからこそ、オーガニックの米や野菜も意欲的に栽培されています。
お弁当と郷土料理づくり
今回は、新鮮な地元産の食材を使ってお弁当を作ります。そのお弁当を持ってハイキングに行き、アウトドアでお弁当を食べます。
お料理を教えてくれるのは、春子さん。春子さんから、その日作るメニューの説明を受けます。メニューは、卵焼き、牛肉の甘辛煮、蒸し野菜、ごはん、のっぺい汁です。
まず卵焼きから。春子さんから教えてもらい、少しずつ卵液を入れ、丁寧に巻いていき、初めて作った、という人も出来栄え上々。日本人の私たちにはお馴染みで誰もが作ったことがあると思いますが、外国から参加されている方にはとっては初めての挑戦。卵焼きを作るための四角いフライパンがあることにも驚いていた様子でしたよ。
ここで卵焼きが完成、と言いたいところですが、これからの一手間がまた楽しい! 巻きすと菜箸で卵焼きをぎゅっぎゅっと挟み、ひょうたんの形にしていきます。
もうひとつのコンロの上のせいろからは白い湯気が立っています。有機栽培のにんじんやかぼちゃ、さつまいもなどが蒸し上がったようです。色も鮮やかで、有機野菜を味わうには蒸し野菜がやっぱり一番いいですよね。
野菜の次は牛肉の甘辛煮に挑戦。ここで使う牛肉は「伊賀牛」と呼ばれる、名張市または伊賀市で育てられたブランド牛肉です。赤身と脂身のバランスがよく、ほとんどが地元で消費されているため他の地域では滅多に食べられない、幻の牛肉だそうです。
その希少な牛肉を地元産の椎茸と一緒に、甘辛く炒め煮します。時間が経つごとにキッチンじゅうが芳醇なすきやきのような香りでいっぱいに。
「味見してみましょうか」と春子さん。みんな一斉にぱくぱくとつまみ食い。おいしそうな匂いに耐えきれず食べたくてしょうがなかったんですよね。
「う〜んおいしい!」
「脂っこくなくて、赤身にすごく旨みがある!」
こんなおいしいおかずを持っていけるなんて、ハイキングがますます楽しみになってきました。
ほとんどの料理ができましたが、最後にくるみ味噌のディップを作ります。地元産の味噌と、生はちみつ、くるみを混ぜた味噌を器にいれ、火で炙ります。香ばしい香りがたまらない、これをつけたら野菜をどれだけでも食べられるなぁと想像してみるのでした。
ひょうたん型のたまごやきもできあがりました。
ごはんも炊けたようです。ごはんは、この体験の開催場所となっている「古民家一棟貸しの宿・吉田屋」のオーナーが作る、名張・赤目産コシヒカリです。オーガニック農法で造られた黒米を入れて炊きあげられています。
土鍋で炊いたつやつやのごはんをおにぎりにします。他のおかずもテーブルに並べ、曲げわっぱのお弁当箱に彩りを考えて詰めていきます。
肉をたくさん詰めている人、野菜を多く入れている人など、それぞれ個性豊かなお弁当ができました。これをかわいいお弁当包みに包んでリュックに入れ、さあハイキングに出発です。
赤目四十八滝でハイキング
お弁当を持って、「古民家一棟貸しの宿・吉田屋」から車で7分ほどのところにある「赤目四十八滝」に向かいます。「赤目四十八滝」は関西で人気の美しい渓谷で、片道約3.5kmのハイキングトレイルを散策しながら大小いくつもの滝を楽しむことができます。全トレイルを踏破すると往復で約3時間から3時間半くらいかかりますが、このツアーでは途中の休憩エリアがある千手滝あたりまで歩きます。
私たち一行は、まず入山口にある「赤目滝水族館」を見学しました。ここはつい最近リニューアルされた水族館で、オオサンショウウオをはじめ、赤目四十八滝に生息する生き物を中心に展示しています。
水族館を抜けると、そこは赤目渓谷。澄んだ渓流の音、ピンと引き締まる空気、木々に囲まれた癒しの空間…。時折すれ違う人に「こんにちは」とあいさつをしながら、渓谷の奥へと続くトレイルを歩きすすめていきます。
ときどき春子さんが立ち止まり、スポットごとに解説をしてくれます。実は、春子さんは、エコツアーガイドなんです。赤目四十八滝は伝説や由来も数々ある神秘的なところ。ただ歩くだけではなく、ガイドさんの説明を聞きながらハイキングを楽しむことができるはいいですよね。
20分ほど歩き、赤目五瀑といわれる5つの滝のうちのひとつ、千手滝に着きました。ベンチがあるので、ここで昼食をとります。暖かい季節には、渓流の近くまで行ってお弁当を食べることもできます。
この日は千手滝の少し上、布曳滝(ぬのびきだき)まで登ります。体験時間やメニューを事前に相談すれば、もう少し先まで行くこともできます。 あるいは別の日に訪れて全コース制覇(往復約7km)を目指すのもいいですね。
名張の自然を歩いて、その豊かな環境が名張のおいしい農産物や特産物を育んでいることをぜひ実際に感じてみてください。
集合場所:近鉄名張駅(送迎あり)、または現地「吉田屋」
所要時間:弁当作り2時間、ハイキング2時間(移動時間は含みません)
※他の体験プログラムと組み合わせて、1泊2日のツアーも可能です。
- 他の体験プログラムはこちら
- 「名張オーガニックビレッジ体験」について