日本に来て2ヶ月。山に囲まれた御杖村で、体育の日に「ザ!雑巾ダッシュ!!2023 in みつえ」という白熱のイベントが毎年行われるというので参加してみることにしました。
「ザ!雑巾ダッシュ!!」とは、旧小学校を改修したみつえ体験交流館で行われる、「雑巾」というものを使うイベントです。雑巾っていったい何? 雑巾とは、床などの汚れた面を拭くための布のことです。使うときは、両手を雑巾の上に置き、足で床を蹴りながら床を進んでいきます。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』で、千尋が銭湯の床を拭いている場面を思い浮かべるといいかもしれません。
この日1日を通して、年齢別、距離別、個人の部、リレーの部など、いくつかの部門にわかれて競技が行われます。競技の内容は、雑巾がけをしながら、木の廊下を最速で駆け抜けるというもの。ハードそうだけれど、賞品とこの雰囲気は参加する価値ありです。各部門のチャンピオンに輝くと、メダルと表彰状のほか、地元産の米10キロが贈られます。
みつえ体験交流館の前には受付ブースがあり、参加者はそこでゼッケンと雑巾を受け取ります。ちなみに、御杖村は名張駅から車で約40分。名張駅周辺にはレンタカーは会社が数社あるので、レンタカーがおすすめです。必要であれば、東奈良名張エリアの英語のドライブマップもここでダウンロードできますよ(英語版のみ)。
受付の後、参加者向け資料一式を受け取ると、そこには自分の名前がカタカナで印刷されていました。資料に目を通しながら、地元のお店の方による淹れたてのコーヒーをいただきました。焙煎具合や挽き方も豊富なこのコーヒーは、御杖村にある道の駅、「道の駅伊勢本街道御杖」でも買うことができます。
コーヒーを飲み、参加者用資料を確認してみつえ体験交流館の中へ。中に入って上のポスターを見ると、大会の全カテゴリーと各年度のベストタイムが掲載されています。どれもこれもすごい記録ですが、特に小学3年生と4年生の50メートルのタイムが13秒を切っているのは驚き!
午前10時にスタートした「ザ!雑巾ダッシュ!!」、体験交流館内は、参加者、家族、村の人々、そして撮影クルーで大混雑。イベント中はお笑い芸人が2人、励ましの言葉をかけたり、時には面白いジョークを飛ばしたりして司会をしていました。競技を始める前に、参加者は全員、司会者のインタビューを受けるのですが、その内容は「気分はどうですか」「どこから来ましたか」といった基本的なもの。若い人から年配の人までの、レースについての感想を聞くのは新鮮でした。
午前の部と午後の部の間に、「おでん」という日本の伝統料理を楽しみました。おでんは、日本では寒い季節によく食べられる料理で、具材は地域によって異なるようです。この日のイベントで出されたおでんは、こんにゃく、ちくわ、手羽先、厚切りの大根が2つ。サイドにはインド料理のチャツネのようなソースが付いていました。こんにゃくはコンニャクイモから作られるゼラチンのような食感のもの。このこんにゃくには少し斜めに切れ込みが入っていて、出汁が食材に染み込みやすくなっていました。温かくて味わい深い一品でした。
いよいよレースの時間
温かくてボリュームのある昼食でお腹を満たした後、いよいよ僕の出番が回ってきました。僕のこの日の目標は全力疾走すること。木の床を100メートルできるだけ速く走ること。楽勝でしょ?いやいやそれが全然。位置についてスタートのブザーが鳴ったときの気分は最高。バランスよく規則正しい歩幅で順調な滑り出し…55メートルの地点までは(上の写真)。
60メートル地点に差し掛かるまでには、私は雑巾が前に飛び出してしまわないようにと、左右にふらふらしてしまいました。そうです、滑りました。
勢いを失ってしまった僕の脚には、もはや痛みだけが走る。観客が私の名前を呼ぶのを聞きながらがんばりましたが、力尽きました。苦しい38秒間の末、フィニッシュラインを切り、息を整えました。ちなみに1位の人は19秒以内でゴールしたとのこと。
レース後、御杖村のマスコットキャラクター、つえみちゃんをイメージした杖型のチュロスを堪能。チュロスの皮はふわふわで、甘い歯ごたえ。まさに「ザ!雑巾ダッシュ!!」の1日を締めくくるのにぴったり。ちなみに写真の後ろに写っているのは、各種目の1位入賞者に贈られる10キロの米袋です。
「ザ!雑巾ダッシュ!!」は思っていたよりずっとハードでしたが、応援してくれる人たちおかげで、また初めての挑戦ということで素晴らしい体験ができました。この地域あるいは近隣にお住まいの人は、ぜひ10月の体育の日に「ザ!雑巾ダッシュ!!」に来て、そして競技に参加してみてください。もしかしたら、御杖村産の新米を持ち帰ることができるかもしれませんよ!
- みつえ体験交流館
- 奈良県宇陀郡御杖村菅野2060
- 「ザ!雑巾ダッシュ!!2023 in みつえ」が取材されました