持続可能な地域社会を目指す、竹林整備・伐採に行ってきました

10月半ばから1月末まで、赤目四十八滝で竹あかりのイルミネーション「赤目渓谷・幽玄の竹あかり」が行われていた名張市(三重県)。
この数年、竹あかりを中心に地元の竹を使って町を盛り上げている。

赤目渓谷「幽玄の竹あかり」
赤目渓谷「幽玄の竹あかり」

その主役である竹を伐採するお手伝いをしてきました。

伐採地は名張市赤目町の竹林。
赤目まちづくり委員会の皆さんの活動に参加させて頂きながら、「自然との共存」について考えることができました。

名張市赤目地域

昨今全国で問題視されている「放置竹林」

皆さんは放置竹林をご存知ですか?

そもそも竹が使われていた歴史は古く、縄文時代の遺跡からは竹で作られたカゴが出土し、タケノコが食べられたり、竹取物語が執筆されたりと日本は古来より竹が生活の中心にありました。

しかし、技術の進歩とともに竹はプラスチックに姿を変え、タケノコは安い輸入品になりました。
日本人の生活に竹の需要は年々減っていき、放置されたままの竹林が増え現在の放置竹林となってしまっています。

竹林そんな放置竹林は、土砂災害や獣害、その他植物の成長の妨げになってしまうなど多くの竹害を引き起こしてしまうのです。

この身近な環境問題の解決に向けて赤目の皆さんは活動されています。

初めての竹林伐採

それでは話を戻して、
この日は早朝から雪がちらつき、非常に寒い中の活動でした。

竹林

チェーンソー片手に竹林に足を踏み入れます。
なんだか子供心をくすぐられるような、、、ワクワク

幼少期から山が身近には無かった私にとって、貴重な初めての体験。

そんなワクワクした心と裏腹に目の前に広がったのは光のない薄暗く、どこか寂しい不気味な世界でした。

竹林に入る

枯れてしまった竹と、不法投棄されたであろうゴミが散らばり私の知っている奇麗で爽やかな竹はそこにありません。

まずは枯れて倒れてしまっている竹を並べていきます。
枯竹は水分がないためか、青竹よりも軽く簡単に割れてしまいます。

竹をどける

そんな枯竹をどけていくと、見えなかった奥のほうが見え嬉しくなると同時に、ずっと続く竹林に終わりのない作業であることも感じました。

枯竹をどかした後は間伐作業に移ります。
竹が生い茂るこの場所は先ほども言ったように光が入ってきません。
日光が届かないと、他の植物が光合成をすることができず成長を妨げてしまいます。

間伐をすることによって光の入り口を作ってあげます。

竹の間伐作業

そして、この間伐した竹が加工されて竹あかりや竹細工として使用されます。

赤目口駅前
近鉄赤目口駅前に設置された竹あかり

悪循環を好循環にするためのSDGs活動

竹あかりに使うものを1本1本見極めている赤目まちづくり委員会の皆さんの鋭い眼はプロそのものでした。

竹をじっくり見ていると面白いことに気が付きます。
それは、節間の長さや曲がり方、太さ、色がそれぞれ違うということです。

漠然としか見たことのなかった竹林ですが、近くで見るとまっすぐ生えるもの、斜めに生えるもの、竹にも性格があるような植物の生きる力を感じることができました。

竹林

そんな自然の尊さを感じながら、誰かが管理をし、守っていかない限りまた枯れ果てて薄暗く不気味な竹林に戻ってしまう。

それは竹害を起こし、人間にとっても悪影響でしかない。

人間の生活の都合で増えた竹林は、人間の都合で放置されてしまっている。

そんな悪循環を好循環にするため、地域資源である“竹”の活用を通じて地域が主体となって 環境・社会・経済のSDGs活動を行っている。

ただ整備するだけでなく、竹あかりや竹細工を作ることで住民同士が交流するきっかけとなり、今では赤目の観光スポットにもなった。

私はこの伐採をする体験自体も自然について勉強することができる貴重な体験型観光にもなると思いました。

古き良き日本の良さを感じながら住民と観光客で作り上げる奇麗な竹林は新しいコミュニティの場所となり、新しい観光スポットにもなるのかもしれません。

皆さんに教えてもらいながら、貴重な体験をさせていただきました。
ありがとうございました。

未来の名張を明るく照らすような、住民が受け継いでいく活動でした。

整備された竹林