日本伝統の工芸品である組紐。少し前にヒットした映画「君の名は。」に登場したこともあり、興味を持たれた人もいるのではないでしょうか。
特に伊賀地方で作られる組紐は「伊賀くみひも」と呼ばれ、国の伝統的工芸品にも指定されています。その歴史は古く、奈良時代にさかのぼるそうです。武士の時代には鎧(よろい)の装飾や刀剣の飾り紐に、明治以降は和装の帯締めなどに用いられてきたそうです。
アメリカから来た私の友達が、そんな伝統的な組紐をぜひ作りたい!というので、彼らを引き連れて名張市内の歴史ある組紐工房におじゃましました。趣きのある建物に入ると、広い工房の中にはすでに組台が用意されていました。作家でもある先生の中内さんから組紐についてのお話を聞いたあと、お手本を見せてもらい丁寧に指導していただきました。
いよいよ実際に組んでいきます。糸が巻きつけられている糸玉を決められた順番どうりに所定の場所に移動して1本の紐にしていくのです。どの糸をどの方向に持っていくのか頭がこんがらがってわけがわからなくしまううえに、しっかりとした組み紐に仕上げるためには力加減も調節しないといけません。ちなみにこれは初心者向けのシンプルな組み方。職人さんや作家さんは何十もの糸玉を操って美しい組紐を仕上げていくそうです。最初は四苦八苦しましたが、しばらくやっていくうちに慣れてテンポよくスムーズに組んでいくことができました。
おぉ、できた! この長さにするのにすごく集中しました。
組台の真ん中に組紐ができてきているの、見えますか?
組紐が完成すると、先生が形を整えてきれいに結んでくださいました。自分でやってみた後職人さんが作った組紐を見ると、「こんなのどうやって作るんだ…」と、体験してみて伝統工芸の奥深さを再認識。とても充実した午後でした。
取材協力:中内組紐工房(三重県名張市)