オオサンショウウオの生息地、東奈良名張
世界最大の両生類って何だか知っていますか? オオサンショウウオです! オオサンショウウオ・ファミリーの中でも、日本固有種のものは絶滅危惧種として特別天然記念物に指定されています。要するに、とっても珍しい生き物なんですよね。「珍しい生き物」好きの私としてはかなりそそられます。
美しい渓流や豊かな自然に恵まれた東奈良名張地域(ENNエリア)は、オオサンショウウオの生息地として知られています。自然の中でオオサンショウウオを見つけることはかなり難しいみたいです。よっぽどラッキーか、よっぽど根気のある人しか見つけられないでしょう。私なんか運はないわ(くじ引きで当たったことがない)、もちろん根性もないのでまず見つけられないでしょう。
しかし! そんな私のような人に朗報。
三重県名張市にある景勝地、赤目四十八滝の入り口にある日本オオサンショウウオセンターでは、特別天然記念物のオオサンショウウオはじめ、様々な種類のサンショウウオを見ることができます。ハイキングに行く前にじっくりと見て行ってください。と、その話をしたらここでこのブログは終わってしまいます(笑)。今回は、その赤目四十八滝から車で10分程度のところにある、名張市郷土資料館のお話をしましょう。かつて小学校だった校舎が資料館となっていて、なんとそこにはオオサンショウウオがウヨウヨいるようなんですね。日本固有種のものではないらしいのですが、ウヨウヨと聞いてすごくワクワクしてきました。さっそく事前に電話をかけ、オオサンショウウオに会いに出かけることにしました。
プール底に潜んでいるのは…
名張市郷土資料館に着くとすぐスタッフの男性がプールへと案内してくれました。ぱっと見、プールの中は暗くて中に何があるのかあまり見えませんでした。
「近くに来て見てもいいですよ」とそのスタッフの方が言ったので近くまで行ってのぞいてみました。
「わ、すごい!」プールの中には黒い…タイヤが(笑)! いやいや、タイヤと一緒にでかい大きな生き物がじっとしているではないですか。何十匹、いや百匹くらい、いやもっとかも! そして説明を聞いてみると、このプールの中を含め、資料館にいるオオサンショウウオは特別天然記念物のオオサンショウウオではなく、チュウゴクオオサンショウウオなどの外来種や、固有種との交雑種なんだそうです。
「一匹すくってみましょう」と男性。今回特別にということで、大きな網で手際よく一匹すくって、用意してあった衣装プラケースに入れてくれました。ケースの中のオオサンショウウオはとてもおとなしく落ち着いた様子だったので、ダメ元で聞いてみました。
「抱っこしていいですか?」
「抱っこはできないですよ。でも背中をなでることはできますよ。やってみますか? なでるときは背後から手を差し出してくださいね。前からだと噛まれる危険があるから」とのこと。
「えっ、こ、こわいですね…」と私。
「後ろからなでるぶんには大丈夫ですから」と再度アドバイスを受け、いざ!
オオサンショウウオをなでなでしてみた!
オオサンショウオの背中ってどんな触り心地か想像つきますか? 触る前はさぞかしボコボコ、しかもぬるぬるしてるんだろうなと思っていました。だって黒い斑点もあるしぬめっと動くし。がしかし、全然思ってたんと違う! すごくスムーズなお肌で全くベトベトもぬるぬるもしていないんです。つるっつるでしかもハリがあって、まるでこんにゃくをなでているよう。いやぁ、驚きました。
さて、なでなでが終わったあと、オオサンショウウオは元のプールに戻されました。スタッフの方によると、身体検査のために年に2回ほどプールの水を抜くそうです。プールを大量のオオサンショウウオが覆い尽くす画(え)を想像してみてください。圧巻っ過ぎます!
中にもいる、オオサンショウウオ
プールを後にし、次に資料館の中へと案内されました。かつて理科室だったという部屋に入ると、そこには水槽がいくつか置いてありました。
「オオサンショウウオに餌をやってみますか?」とスタッフの男性。
「いいんですか? はい!」と即答する私。
割り箸と餌の魚が入った紙コップを渡されると、その魚を水槽の水につけてみてと言われました。おぉ、水槽の底には“ぼーちゃん”と名前が付いたオオサンショウウオがじっとたたずんでいるではないですか。こいつに餌をやるのだな。ちゃぽん。
「きゃー、びっくりした、こわっ!」
“ぼーちゃん”の獲物の捕獲のスピードといったら、ものすごく素早い! あんなにじっとしていたのに…。プールサイドで「前からなでないように」と言われた理由がよくわかりました…。ちなみに、“ぼーちゃん”は3週間に1度しか餌を食べない(餌付けされない)そうで、性別は不明だそうです。
次に、“ぼーちゃん”の水槽の横にある小さい水槽についてスタッフの方が教えてくれました。
「これ、オオサンショウウオの赤ちゃんですよ。手ですくってもいいですよ」
「あぁぁぁ、かわいい〜〜!!」
さすがに赤ちゃんオオサンショウウオは噛んだりせず、手の中で泳いでいるだけです。それにしてもオタマジャクシに似てますね。サンショウウオもカエルと同じ両生類っていうのに納得がいきます。
名張市郷土資料館は、郷土の歴史などに関する資料や文化遺産が展示されているのですが、その中のひとつとしてオオサンショウウオが施設内で飼育されています。でももともと小学校のプールだったところに200匹近くのオオサンショウウオがいるなんて、知らない人からしたら想像もつきませんよね!
なぜそんなにたくさんのオオサンショウウオを飼っているの? と疑問に思っている人もいるのでは。実は名張市では、日本固有種のオオサンショウウオを保護するため、捕獲された交雑種や外来種のオオサンショウウオをプールで飼っているのだそうです。ENNエリアで万が一オオサンショウウオを見つけたら、どんな種であれ見つけた場所が属する自治体に届けないといけないので注意してくださいね。
建物内のオオサンショウウオを見学するのは予約不要ですが、プールのオオサンショウウオを見るには事前に資料館へ連絡が必要です。また、プール含め資料館内のオオサンショウウオに触ったりすることや餌付け体験は通常プログラムとして行われていません。
- 所在地: 三重県名張市安部田2270番地
- 電話番号: 0595-64-7890
- リンク:名張市郷土資料館施設情報 (アクセス、休館日、開館時間などはリンク先でご確認ください)