榛原(はいばら・奈良県宇陀市)を出発点として国道165号線に沿って東へ。名張(三重県名張市)で名所旧跡を巡るコースです。
京・大和と伊勢を結ぶ、初瀬街道。現在の国道165号線沿いの道で、松阪市六軒から青山峠を越え、名張を経て奈良県の初瀬(長谷)へと至ることから名づけられました。名張の青山峠を越えるため「青越え伊勢街道」の別名もあります。その歴史は古く、壬申の乱(672年)の際に、大海人皇子(後の天武天皇)が吉野から宇陀を経て名張に至った道として知られます。また、天武天皇の娘である大来皇女も、伊勢神宮の天照大神に仕える初代斎王としてこの道を通って伊勢に赴きました。以来、歴代の斎王が大和と伊勢を往来したため「斎王上路」とも呼ばれます。江戸時代中期からは、伊勢参りや長谷観音に参る初瀬詣でが盛んになり、街道沿いには多くの宿場町がつくられるなど明治初期にいたるまでおおいに賑わいを見せました。
東奈良名張エリアでは、奈良県宇陀市、三重県名張市が街道上に位置し、さまざまな名所旧跡や宿場町として栄えた昔の街並みが残されています。
あぶらやは、古くから交通の要所として栄えてきた萩原宿の中心にあり、伊勢本街道と初瀬街道の分岐点・札の辻にあり、明治10年頃まで営業していました。本居宣長も宿泊したといわれています。現在は歴史文化館として一般公開されています。
あぶらやの向かいには街道分岐点を示す角石の道標が建っています。
奈良県宇陀市榛原萩原
奈良県宇陀室生三本松2494
名張の町に堂々と建つこの鳥居は、安永7年(1778年)に寄進された宇流冨志禰(うるふしね)神社の一の鳥居で、名張市指定文化財となっています。その横の一本松にはしめ縄がかけてあります。おかげ参りの盛んな頃には、この鳥居の下で焼き餅やお茶などで旅人をもてなしたといわれています。
三重県名張市中町